日本の最たるスコアの撃墜王といえば、岩本徹三さんが有名です。
しかし、もっと凄いパイロットがいたのです。
歴史に埋もれてしまったエース「江馬友一」さんです。
撃墜数というものは、偵察機や爆撃機、戦闘機でも旧式のF4Fワイルドキャットなど全て含み
ゼロ戦が最も活躍したときに記録されたものが多いでしょう。
しかし、新鋭機のF6Fヘルキャットが戦線に登場するようになってから、ゼロ戦も
苦戦の連続で、劣勢に追い込まれていきました。
圧倒的性能の差から、ゼロ戦がF6Fを撃墜するのは至難でありました。
しかし、江馬友一さんは、劣勢をものともせず、F6Fを一度に2機も撃墜した記録がありました。
もちろん岩本徹三さんだって屈指のエースに間違いありませんが
そういった意味で、単純にエースパイロットはスコア(数)だけでは語れないのです。
江馬友一さんは、温厚な人柄で、生涯、自身の撃墜数を自慢するようなことはありませんでした。
一説によると、岩本徹三の撃墜数を上回っていたとか。
たぶん、江馬さんは、こうしたことを書かれるのはお好きでないと思います。
ですが、坂井三郎さんや岩本徹三さん意外にも、歴史に埋もれてしまった、
凄いエースパイロットがたくさんいたことをわかってほしいのです。

江馬友一さんの戦いの記録はこの本に詳しく記されています。
久山忍著『蒼空の航跡』です。
この本、戦記ものにしては、とてもわかりやすく小学生でも読めるのではないでしょうか。
ですから、大人の方でも、戦記ものの入門に最適です。
ゼロ戦パイロットの今泉氏(特攻隊の生き残りとも言えます)の証言を作家の久山氏がまとめたものです。
飛行機操縦のいろはから、航空作戦の基本、戦地での過ごし方やパイロット視点での当時の心境など
その都度わかりやすく解説しながら書かれています。坂井三郎や岩本徹三よりも凄い、けれど死んでしまった
名も無きエースパイロットが数多く登場します。
こういう人たちが死なずに生き残ってくれたら、どんな日本になったんだろうなぁと思いを馳せています。