ショートコント
昔のサーキットのクルマ仲間に偶然、会う。
「あたし、もう57になったよ。ババアだよ」
「こらあ!!!!自分でババア言うんじゃない!」
クルマは?」
「結婚したら全然乗らなくなったのよ。あるけど駐車場に置きっぱなし」
「それはダメだ。タイヤつぶれておにぎり型になるらしいぞ!」
「うーん、そうなの?そんなタイヤ、見たことないけど。
ねえねえ、また、今度、走ろうって言ってよ」
「うん、わかった。機会があったらね。じゃあ、サヨナラ」
「さようならじゃないでしょー。またね、でしょ。」
「やだ!そんな、女みたいな挨拶!」
「うーん、もっとのんびり生きなよ。昔みたいな直ちゃん、
どこいったのさ?」
「ちゃんといるよ。15年前のここに。いつでもいる。いつでも会える」
過去も未来もぜんぶ含めて溶けちゃって自分だから。
過去だけ振り向いてると辛いだけだよ」
「なにそれ。言ってること全然わかんない。」
「わかった。じゃあ、シンプルに言い方を変える」
「うん。なに?」
「ババアとか二度と聞きたくない」