2017年8月 9日 (水)

比叡山延暦寺と桜花発射基地

先日の関西方面旅行で
比叡山延暦寺をお参りしました。
比叡山は仏教天台宗の総本山です。
 
実は延暦寺というお寺そのものはありません。
延暦寺という呼び名は比叡山に並ぶお寺の総称であります。
比叡山は京都府と滋賀県の県境に位置し、琵琶湖を一望、
東塔(とうどう)と、西塔(さいとう)に分かれてお寺が建てられています。
お寺が建つのはいずれも滋賀県側です。 
 
京都市内とは全く雰囲気が違い、ここはとても静か。
観光客は指で数えるほどしかおりませんでした。

Imgp1043

Imgp1030

Imgp1035 
西塔にあります、弁慶のにない堂です。
双子のような造りになっていて、
かの弁慶が双方の屋根にまたがった、という言い伝えが残されております。
 

Imgp1050 
苔が神秘的でありました。
 

Imgp1061

Imgp0998

Imgp1028

Imgp1026

Imgp1029 
こちらは延暦寺のオフィシャルカーです。
消防車も自前でありました。
  
「桜花」発進基地としての比叡山
近現代史では、ここ、比叡山は房総半島とともに、ロケット特攻機
「桜花」の発射カタパルトとレールが配置されました。従来「桜花」は
一式陸攻の腹下に吊り下げて出撃していましたが、終戦間際
比叡山の上に設けたレールから射出する方式に変更したのです。
 
エンジンも従来の火薬ロケットからジェット推進に換装され、
航続距離は大阪湾よりはるか洋上の機動部隊を殲滅(せんめつ)
が可能とされておりました。
 
それらは使われることなく、本土決戦を前に終戦を迎えましたが
元パイロットの方に、当時の訓練の様子をお聞きしておりました。
比叡山を上り下りして、来たるべき決戦に備えていたそうです。
 
桜花の戦跡は撤去され残っておりません。 

蒸気機関車は走る

いよいよ、8月10日、東武日光線でSL「大樹」が走る。
SLが走る路線は全国でも数えるほどしかないので大いに期待歓迎している。
 
数年前、東海地方の市長が
町おこしでSLを復活させる取り組みに着目し
 
「宇宙船が飛ぶ時代、SL(蒸気機関車)を修復するくらい容易い筈だ」
 
と発言し、話題になった。
この発言に対するアンサーは技術的観点からすれば「とんだ見当違い」である。
SLの復活は大変な困難を伴う。
部品の規格が現在と違うし、それを作れる職人がもう居ないので、
少しでも機械をかじったことのある者なら、手間が何重にもなるのは
痛いほど理解できる話だ。
 
市長の発言は、結果的に批判を招いたが 
工業遺産伝承の諸問題を周知出来た、という点では
大きな一歩と感じる。
  
そうして大変な困難を乗り越え復元されたSLは、昨今、子供達や家族連れに大人気で
憧れ、優美さ、ノスタルジーという視点で語られがちだが
一部年配者は顔をしかめ、 
 
「あんなもの復活されても、戦後の貧しく苦しかった思い出しかない」と語る。
 
万人に受け入れらるのものなど存在しない。
 
されど、機械は機械である。
技術者の視点では、機械というものは
常にニュートラルな存在である。ゆえにひたむきになれる存在なのだ。
これを、女性に説明するのは非常に非常に難しい。
 
失われかけた工業遺産を残してゆく。
100年後、200年後においてどう扱われるか、わからないけれど、
ただ、ひたむきに、機械と向き合う人たちがいる。
そうした人たちは市長や妻や年配者の発言にも負けずに
工具を持った手を休めず、きっと、こう言うのだ。
 
「それでいい」と。
 
蒸気機関車は走る。

2017年8月 8日 (火)

ゼロ戦の増槽大研究

Photo
零戦のイラストを全種類描くにあたって
増槽も描いています。
 
増槽(ぞうそう。陸軍名称は落下タンク)
は長距離を飛行する際に取り付ける外部燃料タンクで、
中身が空っぽになったら、切り離し捨ててしまうタンクです。
 
増槽は型式が存在せず、機種によってバラバラなのです。
これだけ零戦がブームなのですが、増槽は
全然研究がされておりません!
専門書などを見ても多くが割愛されております。
 
私も本物をほとんど見たことがありません。増槽だけ展示してあるのは
万世特攻平和祈念館と筑波海軍航空隊記念館くらいでしょうか。
使用後捨ててしまうものですから、残っていないのは仕方ないのかもしれません。
図面も機体の一部としては見なしていないようです。
 
材質・塗装・形状・取り付け場所・支柱、すべてが
年代や機種によって全く、あるいは微妙に異なります。
 
全部は描ききれないので、まず、ゼロ戦に限って描くことにします。
ゼロ戦だけで主に三種類あります。このほかに現場で小加工して取付したり
したケース等、たくさんのパターンがあります。 
 
◆初期型胴体下330リットル(海軍機専用)
もっとも有名なのは真珠湾などで使用した21型の初期型。330リットル。
(彗星艦爆と兼用です。彗星艦爆は翼下に二個装着できます)
支柱にカバーが装着されています。主に52型で見られます。金属製。
 
◆後期型胴体用320リットル(海軍機専用)
次に後期型。形状がかなり細長くなります。主に52型甲以降に見られます。
「雷電」などにも同じものが使われています。
材質は木製に変更され、支柱も剥き出しになっています。
 
◆陸海軍統一型二型落下増槽200リットル×2
翼下に二個取り付けるタイプで「隼」「飛燕」「疾風」など
陸海軍で同じものを使っていました。
ゼロ戦は62型以降の零爆で胴体下に爆弾を取り付けた場合
翼下に二個となります。木製。

2017年8月 1日 (火)

二式飛行艇・九七式飛行艇パイロット吉田氏による操縦解説


 
二式大艇・九七式飛行艇パイロット吉田さんの動画出来ました。
よろしければご覧ください。
 
吉田重次さん
山形県出身。昭和15年12月、第15期乙種海軍飛行予科練習生。
昭和17年11月、水上機操縦専修。零式三座水偵等の操縦を経て、
昭和18年8月、詫間海軍航空隊に配属。九七式飛行艇および二式
飛行艇操縦習得。館山海軍航空隊を経て、昭和19年3月、第90
1海軍航空隊へ転属。昭南島、サイゴン、フィリピン、インドネシ
ア等へ飛行、主として船団護衛を務める。昭和20年6月、横濱海
軍航空隊転属。内地とラバウルを往復し、傷病者、薬品の空輸を行
う。総飛行時間1,000時間以上。
 
第901海軍航空隊 一番機 KEA83号機(ハセガワ模型のパッ
ケージイラストのモデル)操縦。
 
音声修正・ノイズ除去/CREA SOUND WORKS
http://crea.serveblog.net/crea/index.html
  
撮影協力/宇賀神綾香 インタビュー/篠原直人
  
二式大艇・九七式飛行艇パイロット吉田さんの講演会のお知らせ
吉田さんの講演会が10月15日に茨城県小美玉市で開催されます。
飛行艇の話はなかなか聞けないと思います。ぜひお越しください。
同日、彗星(二式艦偵)の田中三也さんもお話しになります。
またブログ内でお知らせします。
 


2017年7月28日 (金)

鶉野飛行場と資料館グッズ

Imgp1305
兵庫県加西市にかつて鶉野飛行場(うずらのひこうじょう)という
飛行場がございました。
 
ここには川西航空機の分工場があり、紫電や紫電改を飛ばしていました。
現在も滑走路や掩体壕などはそのまま残っています。
滑走路脇には資料館も開設されております。 
 
そうした歴史を保存する会「鶉野飛行場未来プロジェクト」のメンバーの方
にお目にかかりまして意見交換会を実施致しました。
 
この会には素晴らしいデザイナーさんがいらっしゃって
これらのオジリナルグッズを購入することができます。
 
一番右は紫電改/紫電Tシャツ。2,500円。
キャラクターはオジリナルマスコット「鶉野少尉」であります。
クリアファイルやステッカー、ポストカードも100~200円と
手頃な価格で手に入ります。売上金は資料館の運営資金となります。
何卒ご支援、よろしくお願い致します。
 
問い合わせ先:鶉野飛行場資料館
http://www.uzurano-hikoujou.com/
 

Imgp0970

Imgp0978

Photo_2

Imgp0972

Imgp0975

Photo_3

Imgp0977

Imgp0995

Imgp0996

Imgp0983

遊就館の撮影規定改正

靖国神社の遊就館ですが
今までゼロ戦とSLのあるエントランスホールのみ撮影が可能で
展示フロアは一切撮影禁止でした。
 
それがこのたび、大展示場の撮影が許可されました。
朗報です。
彗星や桜花の展示してある大きなフロアです。
  
日本の博物館や資料館は撮影禁止のところが多いですが
残念なことです。元来、日本人の感覚からすれば、
撮っていいものと、いけないものの区別はつくはずです。
 
一般的な展示は撮影しても、
遺影や遺書を撮るということは躊躇いますし、何よりも
他の来館者の邪魔になるような迷惑行為は当然しない。
 
それを漢字二文字で「配慮」と言います。
本来の言葉の使い方です。 
 
撮影の可否を来館者のモラルやマナーに任せられるなら
こんなに理想的なことはありません。
 
しかし乍、その区別ができない人が増えたから、不本意乍
一様に禁止!としてしまう、そういった事例が多いと思います。
 
義務を果たさず権利ばかりを主張する人が増えました。あくまで
「撮らせて頂く」という気持ちを忘れずにいたいものです。
 
靖国神社遊就館においても然りです。

フェラーリオーナー某氏の話

車好きをこじらせて、サーキットや
オーナーズクラブの会、峠や首都高など
色々な所に顔を出していました。
 
友達もたくさんできました。
フェラーリやランボルギーニ、ポルシェなど
高級車に乗っている方とも知り合いました。
 
同じフェラーリオーナーでも
お話ししていてとても楽しい人と、つまらない人に
分かれてしまいます。 
 
つまらない人は単なる高級車自慢に終始する人です。
「これが限定で、レアで世界で数台しか作っていないから高くて凄い車なんだ」
とか言う人です。こういう話はものすごくつまらないです。
あくびが出ます。
 
一方で面白い人。実にシンプルです。話の内容が高級か否かではなく
「なぜその車が好きなのか?」が純粋に話せる人です。
  
面白い人の代表格でS氏という人がいます。
一戸建てを諦めてフェラーリを購入し「庶民派フェラーリ」を自称される
S氏は、もう、やることなすことが全て破天荒でありまして
話もぶっ飛んでいて面白いです。アニメオタクでもあるS氏は
 
「迷ったら買え!」
 
「ふたつとも買えばいいじゃないか」
  
「買わぬ後悔より買って後悔!」
 
などなど、数々の名言を私に授けてくださった
恩人(迷惑?)であります。
 
そのS氏が一戸建てを諦めてフェラーリを買った理由ですが
「音がサイコーだから」なんだそうです。
 
確かに、あのフェラーリサウンドはフェラーリでないと絶対に出ない。
エンジンとマフラーと車体デザイン
どんなに同排気量のマシンを改造したところで出る音ではありません。
 
「ワシはあの音を買ったのじゃーー!」
 
極めてブレが無い生き方に敬服しておりますと
  
「ヘッドライト片方で120万円だぞ!高過ぎる!!」
 
などと
と泣いていることもしばしばあります。
 
「フェラーリのエンジン音を響かせてワシのマシンが走るとき
ああああ!生きていてよかった!!!と心の底から思う!」
   
一緒に高速道路を走っておりますと、 
確かに、フェラーリの音は何にも代えがたい、素晴らしく
官能的だと、感じるのであります。
 
蛇足でありますが、
S氏はすごく愉快な方だったので、その後、綺麗なお嫁さんを貰い、
最終的に一戸建ても手に入れておりました。
結果的に、という話です。

測量士さん

ペリリュー島の遺骨収集にあたり
島の正確な地図が必要となったため
測量士さん3名と共に、ペリリュー島へ参りまして
基準点を、 大山の山頂にしよう、という事になりました。
 
そこでペリリューに向かう途中、
測量士さんに様々な苦労話をお聞きしました。
 
日本人は古い時代から
山をあればトンネルを掘り、谷があれば橋を架けてきました。
 
高速道路の測量では、未開の山奥へ赴き
谷底をトレースしながら
山から山へ、二本の足で歩いてゆく。
蜘蛛の巣をくぐり、藪に足を取られながら。 
 
「建築家は整地された場所に建物を建設して
名を馳せるのに対して、我々測量士の名前が残ることは無いですね」
 
なんともその通りであります。
私達は、高速道路を走るとき、電車に乗るとき、
喫茶店でお茶を飲む時、どんなときでも
測量士さんの恩恵を授かっているわけです。
忘れてはならない真実。 
 
そうして大変な苦労をしながら間もなく70歳を迎える測量士さんは、
最後にこう締めくくったのでした。
 
「名前が残らない」
 
「でもそれでいい、いや、それがいいと私は思っているんですよ」
 
重い一言でありました。頭が上がりません。
こういう事を仰ることのできる方々が、我が国の礎を築いてこられた、
そして現在も多く活躍されている。見えないところで。
それが我が技術大国、日本であります。

蒼空はるかメイキング

Iuhi_2 01_1 02_2

Photo 
キャラメイキングです。
左側が下絵、真ん中が着色してすっぴんの状態です。
これにアクセサリーを加えた状態が右側になります。
別パターンも作成中であります。

2017年7月27日 (木)

ベクターデータの販売

1

2

イラストデータのライセンス販売を始めます。
 
今までは主に自分でグッズを製造していましたが
一度に数十万~百万単位でかかるので
マイナー機などはグッズ化にも相当な費用と覚悟が要りました。
大量のダンボールに囲まれて
袋詰めや在庫管理などで日が暮れてしまいます。
 
そこでベクターデータ(編集可能)のライセンスを販売して
自由に使って頂こうと考えています。 
 
見本を少しアップしました。販売するのは
今まで描いた飛行機と艦船全てです。
零戦は全ての形式が揃っています。
編集可能なので、カスタマイズやカラーリング、
自由なデザインが出来ます。
 
取材で全国各地に行くのでお金がかかります。
クラウドファンディングが流行ってますが、
どうしても身動きが不自由になりますし、責任の所在が曖昧となります。
今のところ、必要なお金は自分で調達するがモットーです。