ジェリーフィッシュレイクの危機
ジェリーフィッシュレイクはパラオの
世界遺産ロックアイランドのマカルカル島に存在する汽水湖で
その極めて限られた自然条件から、発生した二種類のクラゲが
棲息している。ゴールデン・マスティギアスと、オーレリアムーン
ジェリーフィッシュであるが、いずれののクラゲは刺す力を持っていない。
深さ30メートルの湖のおよそ15メートル以下は猛毒が湧き出ているが
(無酸素層における硫化水素)水面を泳ぐぶんには害はない。湖は
地下三か所のトンネルで海と繋がり、塩分濃度を保っている。この猛毒域に
存在するトンネルのため、古代より生物が海と湖をと一切行き来すること
なく現在に至る。クラゲは太陽を求めて湖内を回遊するので天候によって
群れの位置が異なる。
ジェリーフィッシュレイクと同様の条件でクラゲの生息する汽水湖が
ロックアイランド内に2ヶ所存在するが自然保護の名目から、観光客が
訪れることが可能なのはここのみである。
▲水面に浮かぶクラゲの群れが確認できる。画面上中央はシュノーケリングで
観察を楽しむ観光客
ジェリーシッシュレイクの危機
ジェリーフィッシュレイクは
1982年にナショナルグラフィックという雑誌で紹介されて以来有名になり
1985年から一般的な観光地となった。
ジャリーフィッシュレイクを訪れるには
専用のパーミッド(許可証)が必要となる。
10年前は無料であったが2015年現在、多くの観光客が殺到している
ことから、100ドルを支払う必要がある。
ツアーに参加申し込みをすればツアー会社が用意してくれる。
特に近年は中国、韓国からの多くの観光客が訪れるようになり
湖の水質悪化が懸念されている。私がみたところ
ジャリーフィッシュへ向かう検問所前の桟橋には
桟橋が足りないくらいの観光客が、湖への順番待ちで
何十人~百人くらい並んでいる。その光景は
ゾッとする。数年前は多くても10数名程度であった。
クラゲは非常にもろいのでフィンで触れるだけでも死んでしまう。
これにパラオ側は危機感を募らせて値上げに踏み切ったのだろうが
観光客は増える一方であった。世界でここだけなのだから金を払っても
見たいという欲求であろう。しかし制限しないと貴重な生態系が
失われてしまう。対策は急務である。
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