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2014年1月10日 (金)

故人の人権を考える

ひとつ前の記事で、戦没者の軍歴調査について
ご案内しましたが、最近、イレギュラーな出来事が
ありましたので
少し書いておきます。
 
問い合わせを頂いたのは40代の女性でしたが
内容は次のようなものです。
 
女性
「19〇〇年〇月〇日ごろ、呉の飛行場から特攻で

沖縄方面へ飛んで亡くなった人のことを教えてほしい」
 

「そうですか。その方とはどんなご関係ですか」
 
女性
「私の前世なんです!」
 
私「うーむ」

私は前世や生まれ変わりという概念を持っておりませんので
研究調査にも加味したことはありません。
実にイレギュラーな例でしたが、女性は真剣でしたので
私は一旦、回答を保留し、後日、本に載っている
特攻隊の名簿をお見せしますということになったのですが
これでよかったのかと、今でも考えてしまいます。
 
女性は今流行のスピリチュアルに精通しており
時間や空間などの概念を超越してものを考えることができるそうです。
 
「なるほど。貴方の前世は調べた結果、この人ですよ」
とお答えすれば、自身に誇りを持って暮らしていけたのでしょうか。
しかし故人の意思はどうなるのか?乱暴な物言いではありますけれど
勝手に前世に認定されて迷惑ではないのか?とも思いました。
(すみません。スピリチュアルを否定するつもりは一切ありません)
 
そもそも故人の人権は何処にあるのか?
誰かが持っているとするならそれは一番近い遺族ではありますが・・・
遺族はあくまで遺族であり、故人の思惑や意向と異なる部分は
当然あるでしょう。亡くなった人をアレコレ評価するのは
実に難しい問題であります。
 
※注
なお、呉には飛行場はありません。(昭和17年に於いて)
呉海軍航空隊は岩国に飛行場を有しました。

よくある質問

Q.戦没者について調べてほしい
 
戦史調査をしていると、たびたび血縁者、ご遺族から

の問い合わせを頂くことがあります。
戦闘概要をお調べすることは可能ですが、個人の経歴
追うためには膨大な名簿を探るには時間がかかります。
そのため、そういった折は
   
 
◆陸軍の場合は管轄県庁の恩給援護局

海軍の場合は厚生労働省へ
問い合わせ頂き、軍歴照会をお願いしますとお伝えしています。

手順は以下の通りです。
 
 
◆戦死された方の本籍地がある県庁(海軍は厚労省)へ連絡し
軍歴を取り寄せる方法

 
おおむね入営から戦死(もしくは復員)まで
詳細記録を保管してあります。
私も同じ方法で祖父の軍歴を
取り寄せました。時間がかかりますが
無料です。
個人情報となりますので、当該の人物より
三等親(ひ孫)まで請求可能です。

  
 
なお、請求には、

戦死された方の本籍地(当時は村だったかもしれませんが
新しい住所でも同じ場所だとわかればOKです)、生年月日
が必須です。そのほか、必要書類として、
請求なさる方と戦没者の関係が証明できる戸籍抄本などの提出が必要です。
親切に対応してくれますので、気軽に問い合わせだけでもなさっては
如何でしょうか。
 
Q.零戦パイロットの連絡先を教えてほしい
  
個人情報保護の観点から、マスコミ関係者、個人問わず、
記事に登場する人物の紹介は原則的にお断りしています。