故人の人権を考える
ひとつ前の記事で、戦没者の軍歴調査について
ご案内しましたが、最近、イレギュラーな出来事が
ありましたので少し書いておきます。
問い合わせを頂いたのは40代の女性でしたが
内容は次のようなものです。
女性
「19〇〇年〇月〇日ごろ、呉の飛行場から特攻で
沖縄方面へ飛んで亡くなった人のことを教えてほしい」
私
「そうですか。その方とはどんなご関係ですか」
女性
「私の前世なんです!」
私「うーむ」
私は前世や生まれ変わりという概念を持っておりませんので
研究調査にも加味したことはありません。
実にイレギュラーな例でしたが、女性は真剣でしたので
私は一旦、回答を保留し、後日、本に載っている
特攻隊の名簿をお見せしますということになったのですが
これでよかったのかと、今でも考えてしまいます。
女性は今流行のスピリチュアルに精通しており
時間や空間などの概念を超越してものを考えることができるそうです。
「なるほど。貴方の前世は調べた結果、この人ですよ」
とお答えすれば、自身に誇りを持って暮らしていけたのでしょうか。
しかし故人の意思はどうなるのか?乱暴な物言いではありますけれど
勝手に前世に認定されて迷惑ではないのか?とも思いました。
(すみません。スピリチュアルを否定するつもりは一切ありません)
そもそも故人の人権は何処にあるのか?
誰かが持っているとするならそれは一番近い遺族ではありますが・・・
遺族はあくまで遺族であり、故人の思惑や意向と異なる部分は
当然あるでしょう。亡くなった人をアレコレ評価するのは
実に難しい問題であります。
※注
なお、呉には飛行場はありません。(昭和17年に於いて)
呉海軍航空隊は岩国に飛行場を有しました。
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