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2013年10月 4日 (金)

回天基地(大津島)

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山口県周南市(旧徳山市)大津島の戦跡
人間魚雷「回天」基地を訪れた。
 
徳山港よりフェリー「新大津島」で40分、高速船「鼓海Ⅱ」で20分。
(画像はフェリー)どちらも料金は変わらず、およそ2時間おきに
交互に出ている。瀬戸内海の島々へ渡る航路は他にも多くあり、ここ
徳山港が拠点。新幹線の徳山駅からも歩いてすぐで、アクセスは良い。
車で行く場合は、朝一番の便か午前中の便であれば、波止場となりの
無料駐車場が空いている可能性が高い。満車の場合は離れた
有料駐車場を利用する。
 
波止場の券売機で「馬島行き」を求める。
大津島はもともとふたつの島が数百年前に繋がった
細長い島で、フェリーは「馬島」と「刈尾」、二ヵ所の波止場を巡るが
どちらも同じ大津島の波止場である。
 

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徳山の大プラント群を見ながら進む。
この辺りは屈指の工場夜景スポットで、地元のツアー会社が
工場夜景クルーズや、普段は立ち入ることのできない
工場内の夜間見学ツアーなどのプランを実施している。

なお、徳山は連合艦隊の燃料補給基地であり
東は柱島泊地と、呉軍港である。
 
フェリーに乗っているのは釣り人が数人。穏やかな瀬戸内海を進み
大津島馬島港へ到着。波止場には「回天の島」という大きな看板と慰霊碑。
回天発射基地跡と回天記念館は、波止場から歩いて5分ほど。
 

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遠くに回天発射基地が見えてきた。
 

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途中、断崖があるので、トンネルを抜けて発射基地へ向かう。
このトンネルは当時つくられたもので
回天はトロッコでこのトンネルを通り、発射基地へと運ばれた。
また、回天搭乗員もこのトンネルを通り訓練、また出撃した。
 
見学客は自分だけ。
釣竿を背負ったおじさんが何の歌かわからないけど鼻歌を歌いながら
トンネルのずっと先のほうを歩いて行くのがわかった。
 
これは空襲を監視するための横穴。

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長いトンネルを抜けて、回天発射基地へ到着。
 
同じように、回天搭乗員は、このトンネルをくぐったのか
と思うと、こんなに悲しいことは無い。
 
※注(発射訓練はここで行われたが、実際の出撃は沖合に停泊する母艦(潜水艦)
に一旦乗り込み、出撃。目的の戦域で切り離されて発進する)
 

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なんと、透き通った綺麗な海だろうか。
回天を海面へ降ろすためのクレーンの跡が残っている。
(白いフェンスの支柱のあたり、タコ足のような形をした部分)
 
大津島は通常魚雷の発射場として昭和14年に建設されたが
昭和19年9月から、人間魚雷「回天」の搭乗訓練および出撃基地となった。
 

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この縦穴から回天艇に乗り込む。
 
飛行機の特攻隊なら、機体トラブルで、あるいは
自分の意志で帰ってくることも可能であろう。
しかし、回天艇は一度、出て行けば、何があろうと
脱出は不可能で、二度と帰ってくることはできない。
 

次に

回天記念館へ向かう。
小中学校の敷地は回天搭乗員の宿舎などがあった。
現在も当時の壁や点火調整室などの建物が残る。
 

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回天記念館を見学する。記念館への道の両側には桜の木、そして
両側の石板には戦没者のお名前と出身地が刻まれている。
 

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館内は回天の資料と
回天搭乗員の遺影、遺書が展示されている。
 
見学者は他におらず、受付の年配男性が、たったひとりのために
入場切符を売ってくれて、中に入った。
 

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回天の内部セット。映画『出口のない海』で使われたもの
以前、この内部に入らせてもらったことがあるが(現在は見るだけ)
とても表現しきれない、閉塞感と絶望感があった。
 
外は潜望鏡で僅かに見えるだけ。
 
搭乗員はこれから突入すべき敵艦の予想進路と
速度を計算し、進む。仮に失敗しても
脱出はできず、再度計算し直し、突入しなければならない。
飛行機と違って、何があっても生きては帰れない。
絶対に命はないのである。 
 

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帰りのフェリーの時間を計算して波止場へ戻る時間となった。
 
記念館を出て、回天坂を下る。見学客は誰もいないのだけど、回転坂の
桜の落ち葉は綺麗に掃かれていて、ほうきをもった年配の女性が
「ありがとうございました」と言ってくれた。
 

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