僕には宝物がふたつある(2)
僕には宝物がふたつある。
そのうち、もうひとつの話。
それは名前。
「直人」という名前は父がつけた。
僕はこの名前がとても気に入っていて
父にはとても感謝している。
ぼくはこの名前に今まで何度も何度も助けられてきた。
道に外れそうになったとき、挫折しそうになったとき、いじめられて
泣きそうになったとき、悪いことに誘われそうになったとき、
その都度、名前に恥ずかしくない生き方を選ぼうと
思いを改めることができた。
お天道様が見てるからね。真っ直な人でありたい。
そう、いたってシンプルにとらえている。
僕はそうやって、小さいころから名前に助けられて、
これからも助けてもらって生きて行くんだ。
「直人くんて名前通りの人だね。直人くんの彼女になれて幸せ」
彼女がそんなことを言って勇気づけてくれたのは
亡くなる、数か月前のことだった。
だから、名に恥じるようなことはできない。
僕はこの宝物を最後まで携えていくんだ。
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