日系一世との出会い
11年前、カナダを約一ヶ月間旅行した。
カナダ人は心の底から優しく、おおらかで旅行者や外国人に優しい。
それが故に、アメリカとは少し違った形で多くの移民を受け入れてきた。
旅行者は稀であろう国境沿いの小さな町で90歳くらいの日系一世の男性と
出会った。男性は久し振りで日本人に会ったことを大いに喜んでくださり、
もうほとんど 忘れてしまった日本語を、英語なまりに、ひとつひとつ
振り絞るように 一生懸命、懐かしそうに話してくれた。
だから私も最近の日本の様子をあれこれ伝えた。男性はとても驚いていた。
移民してから一度も日本へ帰ったことがなく 戦前の頃の記憶しか
ないのだから。男性にとって、日本を離れたときから
時間は止まったままなのだ。
そして男性はこう言った。 「あなたはずいぶん背が高いですね」
誰が想像したであろう。カナダやアメリカと肩を並べるほど成長した
日本を。 カナダには、こうして移民してきた我々の先輩が大勢いて
多くはカナダの土に眠っている。
私はこの出会いによって
かつての日本に思いを馳せるきっかけとなる。
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