硫黄島帰還報告・英霊に奉げ銃
その日も朝から青い空だった。
「兵隊さん、長い間お疲れ様でした さあ、ふるさとへ帰りましょう」
私はご遺骨を抱いてエプロンを歩く。陽炎立ち上る硫黄島基地滑走路では
在島隊員による「奉げ銃」そして音楽隊の「 海行かば 」で 内地へ帰還する英霊を見送る
儀式が行われた後、輸送機に搭乗、百十七御柱の英霊と共に故郷へ向けて硫黄島を後にした。
ご遺骨を抱いたまま数時間、やがて輸送機は曇天真冬の入間基地に着陸した。
ここで輸送機から大型バスに乗り換え千鳥ヶ淵墓苑へ向かう。
滑走路から隊門までの道を千二百人の自衛隊員が直立不動、敬礼して並び英霊の
帰還を迎えた。雲の晴れ間から富士山が見える。大型バスが交差点を曲がると
横断歩道の信号待ちをしている若者の姿に 今日の日本を垣間見た。
最前線の自衛隊基地の緊迫感と 英霊の悲しみ。ここは本当に
同じ日本なのだろうか。
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