朝から良く晴れた8月の日だった。
栃木県大沢村に住む少年、征二は小学校へ向かう道程、
ひとりだけピカピカのゴム長靴を履いて、とても気分がよかった。
それは、先週の配給切符で当選したもので
戦争もいよいよたけなわ、配給制度も
同じ物品が等しく行き渡らない為か、各々、家庭ごとで
当選する物に差異があった。
だから運よく当選した新品のゴム長靴だった。
倉掛山の向こう、宇都宮の街は先月に空襲を受け、焼けたらしい。
大人から聞いたが話だが、ここ大沢村はのどかで、
征二は今日も級友とともに猪倉小学校へと通うのであった。
こんな晴れた日に、それも
サイズの大きい、大人用の長靴をブカブカとビッコ引くように
歩く姿はちょっとおかしく映ったかもしれないが、
ピカピカの新品のゴム長靴。征二は嬉しくてゝ仕方がなかった。
その時だった。太陽を背にして、敵戦闘機が機銃掃射をしながら
突っ込んできた。のどかだった通学の風景は瞬く間に修羅場と化す。
子供らは散り散りに、戦闘機から逃げ、征二もそれにならった。
敵戦闘機は一航過、二航過と、機銃を浴びせると
ふたたび空へ舞い戻って行く。そして旋回。機首をこちらに向けて
また来る、まだ来る。轟音が近付く。
いつもは神妙な心持ちで通るお地蔵様の前を
全力で駆け抜ける。
あと少しで身を隠せる杉林に着くが間に合わない。
今度こそお陀仏かと覚悟した。
ところが戦闘機は撃たない。音が遠ざかって行く。
汗をぬぐう間もなく仰ぎ見る、遠くの青い空、バンクした翼に
日の丸を見た。
それもせつな、敵戦闘機ともども、二機はあっという間に
鞍掛山の向こうへ消えて見えなくなった。
征二は命を拾った思いだった。その場に座り込んでしばらく動けなかったが
ふと、足元に目をやると、配給で貰った新品のゴム長靴が輝いていた。
細かいところまで憶えていないが、こんなブカブカのを履いたまま、
ゴム長靴惜しさに命まで懸けてよく走ったものだ。
ひどい戦争に巻き込まれているのに
なんだかおかしくて、笑いが止まらなくて、征二はひとしきりに腹抱えて
笑い転げたあと、立ち上がって、小学校へ歩き出すのであった。
昭和20年8月。
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このエピソードは篠原が叔父から聞いた実話を
再構成したものです。終戦の日に寄せて
先の大戦で命を失ったすべての方々へ
顕彰と追悼を込めて。
令和6年8月。
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みなさんの地域ではうなぎ食べますか?
栃木県にはうなぎを食す習慣の無い(禁忌とされる)地域があり、
それらの地域の子供たちは川遊び中、絶対にうなぎを捕えてはならず、
万が一網などにかかってしまったら、それはそれは母に厳しく叱責されました。
習慣というのは不思議なもので、ご当地の人々はそれが当たり前過ぎるが故、
禁忌である理由を全く知らない、深く考えたことはないというの人が多いのですが
それでも禁忌地域で聞き込みするといくつかの説がポツリポツリと出てきました。
「うなぎは神様だから絶対捕まえてはいけない」
「昔、大きな水害があったとき、大うなぎが現れて
水をせき止めてくれたので村が助かった。その恩を忘れてはならない」
などなど、お家によって言い伝えが様々ですが大元の考え方は同じようです。
現在のところ、答えに一番近いものがあるとするなら「うなぎは星宮神社
(栃木県各地に点在する神社)の神聖な『のりうま』であるから大切に扱え」
というお話しです。
うなぎは神様のサブキャラだった!
そこで星宮神社を訪ね、宮司さんに理由をお伺いしてきました。宮司さんによると
『のりうま』であるうなぎは、神様そのものではないのですけど、神様の
サブキャラのような位置付けで古来より大切に扱われてきた、というお話でした。
故に、星の宮神社の氏子さんはうなぎを食しませんが、 そうした地域は
栃木県全体に星の宮神社とともに局地的に分布する形で習慣化しています。
だから、同じ町内でうなぎを食べるお宅もあれば、隣の家では禁忌ということ
もよくある話です。
『戦鳥』上下巻が国会図書館(東京)および関西館(京都)
に納本が反映されました。8月に送付してからデータベースに
反映されるまでおよそ半年かかりましたが、両館へ寄贈を
申し出て下さった方に心より御礼を申し上げます。
最近は配信や動画がメインでブログがすっかり下火になってきてしまいました。
「あなたは書くより、喋ると面白いからyoutubeやったほうがいいよ」と
言われたのがきっかけ、それがよかったのか、よくなかったのか。
迷走しています。
ブログもリカバーしていきたいと思います。動画サイトやSNSと違い、ブログ最大の
強みは検索エンジンに強い事です。検索してきました!という方多いです。
ブログの強みを生かし、更新も頑張っていきたいところです。
また、私の扱うジャンルはニッチでアーカーブ的な要素で構成されております。
誰かがやらないと、消えて行ってしまう事を調査に基づき記載することは
必要だと感じ、長年続けており、利用者や閲覧者は多くいるものの、
収益については皆無です。
ブログで稼ぎたいとは思いませんが、せめて活動資金くらいは賄いたいので
色々と物を売ったり、キャラクターで興味を持ってもらったりしていますが
こういった硬派なサイトなので、キャラクターが嫌いな方もいるので
こちらへのアップは躊躇していますが、他所でやっております
キャラクターコラボ企画のビュー数は凄いです。ただSNSでどんなにアクセスを集めても
収益確保は難しいですが、自前のサイトであれば、アクセスアップは高い
利益率に繋がります。いよいよ、苦しくなったら、
こちらでもキャラクターコラボをやっていくかもしれませんが
何卒、ご理解いただくか、苦手な方は必然的に見なくなるかもしれません。
さらには客層やサーチ結果を見ることもできます。
たとえばこのブログのアクセス解析ではIPアドレスとともに
どんな文言で検索し、ここへたどり着いたか見ることができます。
「ペリリュー 高齢者 大丈夫」
など、検索されたことを知ることができ、
どんな人がどんなことを知りたいのか、わかります。
ダラダラと書いてきてしまいましたが、
色々な分野の事柄をミックスすることで、いままでこういった分野に
興味のない方面からのアクセスアップとともに収益をわずかでも確保して、
私が本来やりたいアーカイブ系の記事のアップデートや
作成を続けて行けたら理想なのですが。さて、どうなることやら。
本音を少しだけ言うと、私自身、元々そんなに真面目な性格ではないです。
でも最近は本当にたくさんの方にこのブログを見てもらい、
有難いのですが、堅苦しすぎるのもアレなんで、たまにジョークのひとつでも
飛ばさないと、私自身が行き詰まるのですが色々な考えの人がいるので、
すぐ炎上する昨今、書きたいことも書けない、というもどかしい状況が
続いております。
ベレンコ中尉が亡くなったそうです。
ベレンコ中尉亡命事件は冷戦期の米国とソ連、そして何より
我が国の歴史にとても大きな影響を与えた事件でした。
拙著『不死鳥の戦記』で、鹵獲したミグ25を函館から百里へ空輸するエピソードを
詳しく書きましたから思い出深い人物です。
そういえば、こち亀にもパロディで登場していましたね。
ご冥福をお祈り申し上げます。
冬コミ(C-103)の当落発表はまだですが、見切り発進しないと間に合わないので、
新刊や企画を出来るところから少しずつ始めていきたいと思います。
コミケは夏冬問わず、新刊を出し続け、今まで一度も休んだことが無いので、
今回も何とか乗り切れるよう頑張ります。
もちろん、他のお仕事や各種アップデートも
並行して進めています。
イラストの依頼や、各種調査のお問い合わせも
たくさんありがとうございます。
ただどうしても有料で承ったものが
優先になります。何卒、ご理解をお願い致します。