骨董店2
通勤経路が変わり、店のことはしばらく忘れていた。
半年ぶりに前を通ると、骨董屋は閉まり、貸店舗になっていた。
奥さんも、井戸も、もうなかった。
偏屈な店主には、結局一度も会えなかった。
通勤経路が変わり、店のことはしばらく忘れていた。
半年ぶりに前を通ると、骨董屋は閉まり、貸店舗になっていた。
奥さんも、井戸も、もうなかった。
偏屈な店主には、結局一度も会えなかった。
近所の骨董店に、古い井戸が置いてある。
毎日通りがかるたびに目に入る。
店主の私物で、売り物ではないらしい。
今は、こうしたファジーさを楽しめる店が少なくなった。
通っているうちに、いつか、ふいに譲ってくれることもあるかもしれない。
でも実は、その店主に一度も会ったことがない。
経緯はのすべては、軒下で店番をしている奥さんから聞いた話だから。
私の中ではすっかり、古い井戸を手放さない、たいそう偏屈な店主に仕上がっている。
小松くんは愛妻家である。
小松くんは愛妻家ゆえ、車の運転席に奥さんの写真を飾っている。
少し怖いと感じるのは、その写真でスピードメーターが隠れていることだった。
「小松くん、これじゃ何キロ出してるか全然見えないでしょ」
「見えませんけど、奥さんの顔は見えます。『安全運転して帰ってきてね』って言ってます」
小松くんは僕の後輩で、結婚五年目になる。
会えばだいたい奥さんの話をしている。愚痴のようで、最後まで聞くとたいていのろけで終わる。
でも僕は、その奥さんに会ったことがない。
だから彼女はいつも、小松くんの言葉の中にだけ登場する。
甘いものが好きらしい。やきもち焼きで気分屋らしい。小松くんはよく怒られているらしい。
そして小松くんは、それをうれしそうに話す。
ある夜、小松くんから連絡が来た。
「先輩、ドラッグストアってトマト缶売ってますかね?」
この用件に、僕は関係あるのだろうか。
「あるんじゃね?」
適当な返事をした。
「奥さんがパスタ作ってくれるんですよぉ~~~(#^^#)」
なるほど。
「先輩も行きますよね?」
「えっ、僕は必要?」
「久々に会いたいんですよおぉ」
小松くんの中では、もう決定事項らしかった。
「わかった。じゃ、二十時にウエルシアの駐車場で」
そう送ると、少し間があいて、また連絡が来た。
「先輩、今日機嫌悪いんスか?」
「なんで?」
「だって顔文字が少ないから(´;ω;`)ウッ…」
二十代の男同士の会話で、顔文字の量をもって機嫌を測られるとは思わなかった。
「あー、ごめんごめん。使い慣れてないだけ。全然普通だよ。怒ってないよ。
(((o(゚▽゚)o)))」
いいかな、これで。
「( *´艸`)」
満足したらしい。
僕はガラケーを打つ手をちょっと止めて思った。
小松くんはたぶん、奥さんにも、こういう調子なのだろう。
彼が愛されている理由も、愛妻家である理由も、よくわかる。
怒られたり、頼まれたり、振り回されたりしながら、
すべてひっくるめて幸せなことなのだと思う。
ドラッグストアの駐車場へ向かうと、小松くんの車はもう先に来て止まっていた。
小松くんの車は、国産車にしては鮮やかな赤色をしている。
その赤は、ただ派手というより、迷いがなかった。
「なんでトマトのカンカン? 野菜じゃだめ?」
「ダメです! 奥さん、甘いのが好きなんで。一緒に選んでください!!!!」
つづく。
先日の衆議院選挙で躍進した
チームみらいの安野さんの髪型(長髪)が話題です。
ネット界隈ではあまりその理由を知らない人が多いようですが、
私も安野さんと同じ理由があって髪を伸ばしていました。
「ヘアドネーション」をご存じでしょうか。病気によって髪の毛が
抜けてしまった子供たちのために、自らの髪の毛を寄付し、
ウィッグにする活動です。
私も昨年、約5年間伸ばした髪を31センチほど切って寄付しました。
一昨年、私は父をがんで亡くしました。その闘病生活は
父にとっても、私や家族にとっても言葉で言い表せない
壮絶なものでした。自分にも何かできることはないか
考えましたが、治療はお医者様に任せるしかありません。何もできない
自分に悔しい思いが募りました。
そんな中、直接、父の治療には繋がらないが、同じように
小児がんなどで髪の毛が抜けてしまった(多くは抗がん剤の影響です)
子供たちの役に立てればと考えました。ですから私は髪を伸ばし
痛まないよう毎日のケアにも留意し、ようやく既定の長さを得たので
カットして寄付することができました。
多様性が進んだ昨今とはいえ、男で長髪は珍しいです。奇異にも見られます。
多くの人たちは、私や安野さんが長髪でいる理由を深くは知らないものです。
あるいは調べたり尋ねたりして知りたいとも思わないでしょう。
でも、それでいいと思っています。
正月十四日。
境内には冷たい空気と反して、お焚き上げの炎が勢いよく燃えていた。
どんど焼きは、去年一年の願いを天に返す日だ。
私はその火のそばで、人々から縁起物を受け取っていた。
古い破魔矢、色あせたお守り、少し傾いたしめ飾り。
どれもが、誰かの思いをまとっている。
そのとき、笑い声と足音が境内に弾けるように響いた。
近所の女子高のジャージ姿の女子高生が五人。
真冬だというのにハーフパンツで、褐色の肌がまぶしいほどだった。
胸に抱えているのは、大きなだるまだ。
「お願いします!」
差し出されただるまは、ずしりと重かった。
私はそれを火の中へ、そっと入れる。五人の見つめる中、
炎が一気に燃え上がった。
「あーーー! 燃える燃える!」
歓声とも、嗚咽ともつかない声が上がった。
誰かが一瞬、唇を噛んだのが見えた。
「インターハイ出場」と書かれた、片目のままのだるまは、
ゆっくりと灰に崩れ、やがて見えなくなった。
昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願い致します。
年末年始も休みなく稼働しております。
今年はブログの方もより更新していきますのでよろしくお願い致します。
11月29日のイベントに足を運んでくださった皆様と配信を
ご覧くださいました皆様にあらためまして御礼を申し上げます。
アーカイブ配信が可能ですので、公式サイトのほうから
ぜひよろしくお願い致します。
11月29日(土)新宿にて上記のイベントを開催します。
るりどん=私です。
現地でのご参加はもちろん、遠方の方におかれましたは配信での参加
も可能です。よろしくお願い致します。
ぜひ皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。
お申し込みはこちらからお願いします。
https://afee.jp/2025/10/12/14524/
自分で描いた過去イラストを使用し
AIでアニメーション化しました。