働き方改革
人生、何か楽しみが無いと、働く気にならないと思うのです。
きつい仕事でも休みがあればそれなりに頑張れるはずで、
日本人はまじめで、うまく休みをとる、ということが苦手なのだと思います。
戦友会で水野元陸軍大尉に聞いた話を紹介します。
昭和20年8月、終戦。
サイゴン(現・ホーチミン)に戻ってきたフランス軍が、ふたたび威勢を張っていた。
フランス軍は連合軍と雖も、とても弱いので、ベトナム解放軍の襲撃を恐れ
サイゴンの中心地に司令部を置き、その外側をグルリと日本軍守備隊が
フランス軍を守る配置となった。とても変な恰好である。
この辺りの経緯は以前、こちらに書いた。
水野大尉の中隊は、フランス軍によって武装解除を受け、
復員を待つ間、ゴムの積み込み作業を強いられた。いわゆる強制労働である。
ひっぺがした廃材のゴム資源を、ひたすら船に積んでゆく作業なのだが
日本軍の指揮はあがらず、ダラダラと一向に進まない。
フランス軍指揮官が檄を飛ばすが、全く効き目が無い。
これを見かねた水野大尉がフランス軍指揮官に進言した。
「お前ら、日本人の使い方を知らねえんだよ。鞭で叩けばいいってもんじゃない。
俺を指揮官に一任してくれたら、お前らが7日間と見込んでいる納期を
5日で終わらせる自信がある」
これをフランス軍指揮官は承諾し、以後、水野大尉の指揮によって
作業が進められることになった。水野大尉は、一日分の作業目標を細かく設定し、
作業は順調に進んだ。すると、作業は僅か3日間で終わってしまった。
水野大尉はこれをフランス軍指揮官に伝えると、こう付け加えた。
「ほらみろ。3日間で終わったぞ。
5日間もらったから、残り2日間は休みだ。いいな」
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