桜花の胴体に日の丸は無かった
桜花の胴体に日の丸は描かれていませんでした。
これはご自身が桜花のパイロットであり、訓練中に終戦を迎えた迅雷部隊の方が
証言しました。(お話し/元桜花搭乗員・鈴木英男さん)
元来、全ての航空機は敵見方を識別するため機体には
国籍シンボルが描かれています。
桜花の航続距離は、母機の一式陸攻により高度6000メートルで切り離された場合
30キロを滑空が可能で、ロケットに点火するとさらに若干の航続距離が稼げました。
(ロケットの燃焼時間は一本につき約9秒間で三本を備えていました)
ロケット特攻機という印象が強い桜花ですが、用いる火薬ロケットは補助的な役割で
どちらかというとグライダーに近いと航空機と言えます。
さらに一式陸攻は目標への接近時
レーダーに捕捉されないよう、低空を飛行するので、桜花投下時に
6000メートルの高度を確保できた例はとても少なかったのです。
よって桜花が単独で飛行できるのはほんの一瞬です。
日の丸が描かれなかったのは、航空機としての扱いを受けなかった。
桜花は一式陸攻に吊るされた大型の誘導爆弾に過ぎず、パイロットは
その誘導装置を担う、つまり部品の一部でしかなかった。非常に悲しい事ですが
そういう見方もできます。
靖国神社、遊就館のレプリカには日の丸が描かれています。
散華した桜花搭乗員への、せめてもの敬意と私は考えます。
桜花について詳しくお知りになりたい方には
『証言.桜花特攻-人間爆弾と呼ばれて』(文芸春秋)
をお読みになることをおすすめします。
(※注 ここで言う桜花は全て、唯一実戦に用いられた「一一型」を前提として記述してあります)
※追記、鈴木英男さんはこの記事を書いた後の平成二十三年十二月に亡くなりました。
心よりご冥福をお祈り致します。
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