測量士さん
ペリリュー島の遺骨収集にあたり
島の正確な地図が必要となったため
測量士さん3名と共に、ペリリュー島へ参りまして
基準点を、 大山の山頂にしよう、という事になりました。
そこでペリリューに向かう途中、
測量士さんに様々な苦労話をお聞きしました。
日本人は古い時代から
山をあればトンネルを掘り、谷があれば橋を架けてきました。
高速道路の測量では、未開の山奥へ赴き
谷底をトレースしながら
山から山へ、二本の足で歩いてゆく。
蜘蛛の巣をくぐり、藪に足を取られながら。
「建築家は整地された場所に建物を建設して
名を馳せるのに対して、我々測量士の名前が残ることは無いですね」
なんともその通りであります。
私達は、高速道路を走るとき、電車に乗るとき、
喫茶店でお茶を飲む時、どんなときでも
測量士さんの恩恵を授かっているわけです。
忘れてはならない真実。
そうして大変な苦労をしながら間もなく70歳を迎える測量士さんは、
最後にこう締めくくったのでした。
「名前が残らない」
「でもそれでいい、いや、それがいいと私は思っているんですよ」
重い一言でありました。頭が上がりません。
こういう事を仰ることのできる方々が、我が国の礎を築いてこられた、
そして現在も多く活躍されている。見えないところで。
それが我が技術大国、日本であります。
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