吹上浜での拉致
時間を見つけては、文字に残しておきたい事が沢山あるが
「生きている人間を救出する」これは最優先事項だから特に
力を入れて書く。
私の友人が北朝鮮に拉致されそうになったことがあると
話してくれたことがある。本当の話だ。
昭和50年代、場所は吹上浜。
吹上浜といっても海岸線が47kmあるので具体的な場所をいうならば
現在の吹上浜海浜公園近辺だったという。
当時、中学生だった彼は
友人と二人で吹上浜で行われる花火大会へ遊びに行った。
夏の夜空に打ち上がる花火を眺め楽しんでいると
人混みの中で明らかに違和感のある、男の二人組を目撃した。
花火の見物客はいずれも空を見上げているというのに
その二人組の視線は上空の花火を楽しむ様子もなく
橋の上からこちらをじっと見つめているというのだ。
不気味さと一抹の不安を感じながらも花火が終わって
自転車で帰路についたときだった。
会場から離れ、人気のない道に差し掛かった頃
後をつけてくる自動車がいることに気付いた。
自分たちが速度を落とすとあちらも落とす。引き離そうと
すれば間合いを詰めてくる。そうやって自転車を漕ぐ速度を幾度か変えたが
これが着かず離れずだったのでこの時点で明らかに追われていると
気付いたののだった。
「おい、やばいぞ」
二人には置かれている状況が全く理解できないが、
身に危険が及んでいることは明確だった。
逃げるために全力でペダルを踏んだ。
しかし到底自転車では逃げ切れない。
一本道の周りには身を隠す場所がなくとにかく全力で逃げた。
そしてようやく茂みある付近に差し掛かった時
二人はお互いに合図をすると同時に自転車を捨てて茂みに逃げ込んだ。
二人組もすぐに車を停車させ、後を追ってきた。
遠くまでは逃げられなかったので咄嗟に身を潜める他なかった。
追ってきた二人組は辺りを執拗に探し回っている。
このときの喋り声が日本語でないのがわかった。
しばらく探すと諦めたのか、舌打ちをして遠ざかっていったという。
この話はこれでおしまいだが
拉致犯に目を付けられ、未遂におわったということだろう。
後日、警察に事情を聴かれたが、事件が大きく取り上げられることは
無かったという。北朝鮮による一連の拉致は彼が大人になってから
知ることになる。拉致事件は新潟が多いような印象があるがここ
鹿児島の吹上浜でも事件が確認されている。
当時、機転を利かせたことから無事逃げ切った彼は
「昔のことだから」と笑いながら話していたが私は背筋の凍る思いがした。
こうして明るみに出ない事件が他にもあったのではないだろうか。
できる限るの真実を残したいのでここに記す。
私はブルーリボンを胸に付けている。あるとき
「何か拉致事件の運動に参加しているの?」
と尋ねられたことがあるが、何もない。つけているだけだ。
極端な言い方をすればつけるだけで何もしなくていい。
しかし国民の多くがこのバッジをつけたらどうだろう?
国民が一貫となって関心をもって拉致は許さないんだ。
絶対に生きて故郷の親のもとに返すんだという気持ち表明すれば、
首相の発言力は強大なものとなり解決に向けた後押しとなることは確かだ。
強いて言うならば上に記した通り、身近な人が未遂とはいえ拉致の被害に
遭っているからだ。北朝鮮による拉致は決して他人事では無い。
被害者家族の横田夫妻はすっかり年をとった。
一刻も早く会わせてほしいと願っている。高齢になりながらも
全国の集会等に参加する横田夫妻の表情を見る度に
心を切り裂かれたような気持ちになる。
平成14年の小泉首相訪朝で金正日は拉致という国家犯罪をを正式に認めた。
それ以前に社民党の土井は「拉致は無い」と断言してしまった。
社民党は未だ言及どころか謝罪訂正が無い。現在与党の一部議員しか
ブルーリボンをつけていないが、拉致事件は超党派で言及し、早急に
被害者救出にあたるべきだ。拉致は北朝鮮による重大な国家犯罪であり
現在進行形による、一刻も早い解決が必要な人権侵害だ。
生きている人間を救出する。これは最優先事項だ。
それには何より、多くの国民が関心を持つことが大切だと感じている。
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