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2017年7月28日 (金)

測量士さん

ペリリュー島の遺骨収集にあたり
島の正確な地図が必要となったため
測量士さん3名と共に、ペリリュー島へ参りまして
基準点を、 大山の山頂にしよう、という事になりました。
 
そこでペリリューに向かう途中、
測量士さんに様々な苦労話をお聞きしました。
 
日本人は古い時代から
山をあればトンネルを掘り、谷があれば橋を架けてきました。
 
高速道路の測量では、未開の山奥へ赴き
谷底をトレースしながら
山から山へ、二本の足で歩いてゆく。
蜘蛛の巣をくぐり、藪に足を取られながら。 
 
「建築家は整地された場所に建物を建設して
名を馳せるのに対して、我々測量士の名前が残ることは無いですね」
 
なんともその通りであります。
私達は、高速道路を走るとき、電車に乗るとき、
喫茶店でお茶を飲む時、どんなときでも
測量士さんの恩恵を授かっているわけです。
忘れてはならない真実。 
 
そうして大変な苦労をしながら間もなく70歳を迎える測量士さんは、
最後にこう締めくくったのでした。
 
「名前が残らない」
 
「でもそれでいい、いや、それがいいと私は思っているんですよ」
 
重い一言でありました。頭が上がりません。
こういう事を仰ることのできる方々が、我が国の礎を築いてこられた、
そして現在も多く活躍されている。見えないところで。
それが我が技術大国、日本であります。

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