« こだま号 | メイン | ベルH13 »

2017年5月12日 (金)

お月様

昨夜は満月でした。この時期の満月は特別です。
田植え前の鏡のような水田にお月様が反射しますから
眩しいぐらいに明るい。畦道を歩くと眩しいお月様の光で
自分の濃い影ができるのです。遠くの景色まではっきり。
  

しかし残念ながら昨夜は曇り。
 
お月様といえば、落後・目黒の秋刀魚で次のような枕があります。
(これは秋の話ですけど)
 
以下はお大名と侍従の会話です。
 

大名「これこれ、三太夫、今宵は満月であるな」
侍従「左様にございます」
「お月様は出ておるか?」
「殿、畏れながら申し上げます。殿は月は月と呼び捨てに願います。
敷島の道におかれましても月と一言にございます。」
「余がお月様とは、おかしいか」
「おかしゅうございます」
「では今一度、申し上げる」
「ははっ!」
「三太夫、月は出ておるか」
「一点隈なく冴え渡ってございます」
「星めらはどうじゃ?」
 
何も悪く言わなくたって良いのですけれど。
 
目黒の秋刀魚は古典落語の中でも傑作で
登場人物が、平和ボケした時代のお大名としっかり者の侍従。
このやりとりが憎めず、面白い。そして風情があります。

「目黒の秋刀魚に限る」いうのは落ちですけれど、
それに至るまでも様々なパターンが用意されていて
噺家によって違うのですが
 
浮世というものを良く知らないお大名が、侍従に
「下肥で育てた野菜は美味いと」聞かされ
鉢を差し出して「苦しゅうない、かけてまいれ」と
耳を疑うような事を言ってみたりと、
とんでもないギャグを連発してくれるのです。

コメント

コメントを投稿