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2017年5月31日 (水)

渋谷の大盛堂書店

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渋谷のスクランブル交差点の先にある
大盛堂書店。
 
創業者は船坂弘氏である。
 
船坂氏は
栃木県西方村(現在の栃木市)出身。
宇都宮五十九連隊第一大隊砲兵隊軍曹。
パラオ・アンガウル島玉砕戦の生還者。
アンガウル島の日本軍守備隊将兵1200名、玉砕戦で
生還した十数名のうちの一人である。
 
戦後は、この渋谷の一等地に大盛堂書店を開業し
書店の経営と並行して、多くの著書を残した。
 
船坂氏が残したかったもの、それは著書を読めば解る。
船坂氏は、著書の出版に際して、戦友遺族の家を一件一件
訪ねて回り、一人一人、漏れることなく、戦没者名を刻んでいった。 

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大盛堂書店は繁盛し、著書も売れた。
 
船坂氏はその資金で、アンガウル、ペリリュー、ガドブスの各島に
自費で慰霊碑を建立。そして今日に至る遺骨収集隊の先駆けとなった。
 
ところが、
戦争が終わって、誰が予想したであろう豊かな時代が訪れると、
人は欲深くなるのだろうか。
 
私心を捨てて、戦友の弔いに尽くす船坂氏とは対照的に
それを妬む者が現れた。

「本で大儲けして」 
「たかが軍曹のくせに」
「ペリリューの事など知らないくせに」
 
船坂氏はこんなバッシングにも負けず
生涯を戦友の慰霊に捧げた。
 
慰霊とは何か。まずは感謝と祈り
そして、誰がどこでどのように戦って死んだのか
記録に残すことではないだろうか。
 
船坂氏はまさにそれを戦後、貫き通した人物であった。
 
この話は本には載っていないけれど
船坂氏と、戦後の混乱期を
知る人物から取材して聞いて回った話だから
私は、少しだけならこうして書ける。 
 

大盛堂書店、今は船坂氏のご長男が経営されている。
 
スクランブル交差点を行き交う人の群れの中で、
こんなに人は多いけれど、
そんなことを考えているのは、たぶん私だけだろうと思う。

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渋谷の街は再開発が進んでいる。

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スペイン坂を上り切ったところに
A.D.2019とAKIRA金田のバイク。
西暦2019のネオ東京。
SFの世界もすぐそこか。
  
時代は過去から現在、未来へと繋がってゆく。
  

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関連エピソード
三島由紀夫と船坂弘の関孫六三本杉

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