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2011年9月18日 (日)

パラオ国旗の由来

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パラオの国旗は、日章旗を真似たという説があり、論じられていますが

以下、ベラウ・ナショナル・ミュージアムの資料によると以下の通りです。

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パラオの国旗は黄金に輝く満月が青空を背景に浮かぶものである。
パラオの全ての島の人々は月に伝統的、感情的親近感を抱いている。
満月は地球の周期的活動の頂点であると同時に祝い事に最適な時を表す。
 
満月はパラオ人の結束と運命の象徴として輝いている。青い背景は長きに
渡った外国の権威が我々の土地から去ったことを象徴している。
満月は
あたたかさと静寂、平和、そして国内の統一を示すものである。
 
この国旗はアルモノグイの第二伝統首長であるブラウ・スケボン氏が
デザインしたもので
1980年に多くの候補の中から選ばれたもの。
ベラウ国立博物館のインタビューに
答えるスケボン氏は旗に込められた
思いを次のように語りました。
 
「パラオには満月の日は一ヶ月の中で最も縁起のよい日だとする言い伝え
があります。
つまり満月の日は物事を始めるのに最適な日なのです。また
旗の色にも意味があります。
青い背景は太平洋を表すと共に、私たちを
植民地統治した国々、スペイン、ドイツ、
日本、アメリカの影を表しています。
そして黄色は健康と反映を表しています。
ですからこの旗は、私たちはかつて
植民地支配下にあったけれど、今は繁栄し強くなって独立するんだということ
を表しています。
また、満月を少し左寄りにしたのは、旗が風にはためいたとき、
ちょうど満月が中央に見えるように
工夫したものです。」

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日章旗を真似たなんてことは、一切書いていないのです。
スケボン氏もそれを否定しており、一体どこから日章旗の説が出てきたのか謎です。
 
「日章旗のマネしたんですか?」などという質問は
パラオの人たちに失礼ですから、くれぐれもやめてもらいたいのですけれど。
ネット右翼の人たちには困ったものです。
 
パラオの月、それも満月は美しいものです。
パラオの人たちは満月にそれはそれは特別な感情を持っているのです。
せつなる思いが込められています。

コメント

>もしパラオ国民が日本が嫌いだったなら、日章旗によく似た国旗を採用するでしょうか。

ドイツの国旗(1949年)とロシアの国旗(1993年)も色違いの似たデザインですが

元駐日パラオ大使ウエキ・ミノル氏は「日本の国旗からとって青地に黄色にした」と明言されている。
元大使の発言である以上、ある程度事実を反映した発言であろうとは思われる。

ちなみに、発案者John Blau Skebong氏は「私はもちろん日の丸を知っている」と述べている。全く日章旗を知らない人間によるデザインと日章旗を知識に持つ人間のデザインではそのデザインの根本が何かという点に差は生まれるかと思う。もちろん氏の言うように日章旗を意識して月云々ということではなくパラオ独特の自然カラーよりデザインしたという事は最も真実っぽさはある。しかし無地に円形という図画に関して、先行する国旗やデザインの影響がないとする主張は根拠不足である。(国旗作成には他国や年代的に先行する国旗の知識は必要不可欠である)

心理学者のロフタスにより、誤導情報パラダイムと呼ばれる方法を使い、エピソード記憶の歪みについて研究がなされているという。(【出典】日本女子大学 心理学科 オリジナルWebページ 2020.01.07
おもしろ心理学, 入門心理学 記憶は変化するものである 執筆者:石黒格 【参考文献】Loftus, E. F., & Palmer, J. C. (1974). Reconstruction of automobile destruction: An example of the interaction between language and memory. Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 13(5), 585-589. J.ショウ 脳はなぜ都合よく記憶するのか:記憶科学が教える脳と人間の不思議 講談社)
つまり、それがたとえ本人の言であっても事実とは限らないという話。また質問により記憶は変質するという点が上記出典内にて語られています。
それは肯定説・否定説どちらにも当てはまること。証言は物的な証拠ではないので。

唯一明らかになっている確実な物証はパラオ国旗と日の丸が円形を中央(あるいはその近く)に置くデザインとして共通しているという事のみである。これのみで事の是非は問えまい。

1999年のクニオ・ナカムラ大統領が日章旗との関係を否定も肯定もしないという点を考えると、パラオ国旗自体はパラオの自然や風土を象徴する独自のものであるが、客観的に図画として日章旗の影響(これは戦前日本の同化政策をも含む(【出典】パラオにおける戦前日本語教育とその影響
))を排し得ないといった所だろうか。

何にせよ、最終的に選定委員会が選んだ以上はパラオ国旗の成立と作者の意図とは別問題であるから、パラオ国旗が日章旗に似ているのは偶然であるという主張は成り立たないというのが公平な見方ではある。
(大使の発言や島民の深層心理中の日本の影響、歴史的経緯をふまえない、あるいは軽視するような非学問的な姿勢は慎むべきだろう)

追伸
これが何を意味するかというと、いかに否定しようと今後も、パラオ人日本人両方から「パラオの国旗が日の丸を元にしている」という認識は出続けるであろう。しかも民衆認識としては正しい事実と言える。

何故なら、大統領が全く無関係と断言できない程度にパラオ国民あるいは国旗作成当時の政治権力者側の人間にもパラオ国旗と日章旗の類似が認識されているからである。この点は、何を言っても変わらない事実だから、何事かをいかに騒いでも無駄である。

そもそも、パラオ国旗が公募で選定委員会選ばれたという事実により、その他の公募で集められたデザインの要素も現国旗に含まれている場合もあり、意図や由来が複数になっている事もパラオが公式で言及を避けている理由にもなろう。
公的な文書でもパラオの日章旗由来に言及するものは少なくないが(【出典】「南の島、パラオで学ぶ生物進化と国際感覚。期待高まるプロジェクト。」山形大学 東京財団研究報告書「日本とミクロネシア諸国との関係強化に向けた総合研究 」松島泰勝 )ネット右翼ガーとか思想云々に持っていく馬鹿には言っても理解できないだろうね↑↓

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